「ダメなら引けばいい」!? WOODYYLIFEが果敢に始めた不動産事業の勝算
公開日:2025/10/30 株式会社WOODYYLIFE(ひだまりほーむグループ)
岐阜県
Webサイト: https://www.woodyy-life.jp/
事業内容: 新築,リノベーション
従業員数: 15名
代表取締役会長 石橋 常行様
「お客様の理想の家を建てたい」。その情熱を胸に、住宅事業を営む株式会社WOODYYLIFE様。
彼らが目指すのは、単なる「家づくり」に留まりません。
お客様の「心豊かな人生」をデザインするため、新たな事業の柱として不動産仲介業に参入しました。
特筆すべきは、その大胆な事業開始への姿勢です。
石橋会長は、「設備投資も少なく、ダメなら引けばいい」と、フットワークを軽くスタートしたと語ります。
住宅建築のプロが、どのように不動産事業を立ち上げ、成功への道を切り開いたのか。その挑戦の背景に迫ります。
不動産仲介業に参入したきっかけをお聞かせください。
物件王のセミナーです。セミナーを聞いたスタッフから「こんな面白そうな事業がありますよ」と、提案がありました。
これまで基本的に土地は扱ってきませんでしたが、家を建てるには土地が不可欠です。
今までは新築に特化していたため、土地に深く関わる機会は少なかったのですが、そのセミナーで「川上から押さえましょう」という話を聞いたスタッフが、「私たちは川下にいるけれど、川上、つまり不動産という入り口をしっかり押さえれば、もっと事業領域が広がるのではないか」と感じたことがきっかけです。
私自身は当時、不動産事業に乗り出すつもりは特になかったのですが、彼から話を聞き、具体的な話を聞くうちに、「確かにこれはやる価値がある」と確信しました。むしろ、私自身が凝り固まっていた視野を広げるきっかけにもなりましたね。
土地付けのためではなく、新たな集客窓口を目的として不動産参入されたのでしょうか?
その通りです。当時、当社のお客様の半分が土地を所有している状況でした。
不動産事業は、当社の顧客だけでなく、一般のお客様に対しても幅広い情報を提供できると考えました。
不動産屋さんが持つ情報は、住宅会社よりも数ヶ月早いこともあります。
だからこそ、お客様にいち早く価値を提供できるよう、「ひだまりホーム」とは別の「ウッディライフ不動産」という屋号で、不動産仲介業をスタートさせました。
屋号を別にした理由は何だったのでしょうか?
「ひだまりホーム」だと、この地域ではどうしても住宅会社のイメージが強すぎたため、あえて別の名前を選びました。
だから、「ウッディライフ不動産」という事業部として、地域に根ざしながらも新たな事業であることを明確にしたかったんです。
不動産事業の難しさはどんな点でしたか?
不動産業界は、私たちが思っていた以上に旧態依然としている部分が多いと感じました。
特に7、8年前は今よりもさらにそうでしたね。
当時、不動産業者の方々から「分譲でも始めるのか?」と聞かれ、「そのつもりはない」と答えたら、周りがサーッと引いていったんです(笑)。
「分譲なら協力するけど、競合するならなぜ来たんだ」といった雰囲気でした。
でも、最初は「敵」と見られていたのが、事業を始めてみると「味方」になるという、面白い変化もありました。
今でも旧態依然とした部分を感じることはありますか?
はい、ありますね。特に法令やコンプライアンスに関して、まだまだ理解が不足している年配の方も少なくありません。
地方では特にそういったケースが多く、物件を隠したり、資金や税金の話を十分にしないまま販売したりと、本来当たり前にオープンであるべき情報がそうでないことも多々あります。
しかし、私たち住宅業界の人間は、住宅ローンや税金といったお客様の人生に関わるお金の話を得意としています。
そういった意味で、ホスピタリティも含め、お客様に対して不動産というアイテムを提供できれば、十分に勝算があると考えています。
住宅業界の強みが武器になると考えられたのですね。
住宅業界では担当者の力量が重要ですが、不動産業界も同じで、物件だけでなく「誰が担当するか」が非常に重要です。
私たちはお客様に対するサービスやホスピタリティに長けているため、不動産業界において、住宅屋が事業を行うことは、業界全体にとっても良いことではないかと感じています。
建築事業と不動産事業との間で、ギャップを感じたことはありますか?
やはりスピード感覚に慣れるのが大変でした。
不動産は住宅よりもスピード感が早く、少しでも迷っていると物件がなくなってしまう。
リカバリーが効かない一発勝負のような側面もあり、住宅のような時間軸の感覚では難しかったです。この回転の速さに慣れるのが大変でしたね。
また、一つの不動産に対して、複数の不動産会社が同時に動く中で、「入れない」といった理不尽な状況に直面することもありました。
住宅業界では、お客様がじっくり検討できるよう、情報提供も丁寧に行うのが一般的ですが、不動産業界では「早い者勝ち」のような側面もあります。
このジレンマに戸惑うこともありました。
僕たちにとっては当たり前ではないことだったので、少し戸惑い、「こういうものなのか」と頭を叩かれたような感覚でした。
不動産業界への抵抗感はなかったですか?
不動産に対して、そのような感情は全くありませんでした。
よく住宅建築は「ものづくり」と言われますが、その中には大工や職人がいて、設計士も営業も職人だと考えれば、不動産や土地も、家を「ものづくり」する上で不可欠な要素です。
建築が成立するには、不動産も同様に重要な「パーツ」なんです。
だからこそ、不動産事業に抵抗はなく、むしろ必要だと感じていました。
以前は不動産業者とのやり取りで不満を感じることもあったので、自社でできるようになったことで、むしろお客様に安心を提供できるようになりました。
不動産事業へのリスクや撤退条件は考えていましたか?
当時は特に考えていませんでした。
不動産事業は、設備投資がほとんど必要なく、住宅事業に比べて身軽に始められ、そしてもし駄目だったとしても撤退しやすいというイメージでスタートしました。
「いい意味で軽いノリ」というか、あまりリスクを考えすぎずに、「何か未来を描けそうなイメージが持てるならそれでいい」という感覚でしたね。
何年ぐらいで結果が出たらいいなと考えていましたか?
*2年から3年くらいで結果を出したいと思っていました。ただ、実際は簡単ではありませんでした。
いざやってみると、旧態依然とした業界体質や、不特定多数の顧客層、そして同業他社との関係性など、想像以上に複雑でしたね。
*現在では立ち上げ1年以内での収益化を目指し、サービス・ノウハウを大幅に充実させております。実際、立ち上げからわずか1年で収益化を達成されている成功事例も多数あります。
事業の立ち上げのメンバーを決める際、何を重視しましたか?
私はもともと、社員に責任のあるポジションを与え、一つの事業を任せることで、将来的には経営者になってもらいたいという思いがあります。
そういった視点から、この新しい不動産事業を任せる人間を考えました。新規事業は苦労も多いですが、その困難に耐えうる人間は誰だろうと考えた時、能力よりも「そこにコミットできるかどうか」が重要でした。
城ヶ野君が責任者になったのですが、彼は元々人事や総務の担当で、たまたま学生時代に宅建免許を持っていたという経緯です。
畑違いの分野でしたが、彼ならきっと乗り越えられるだろうと。
経営者の条件に「折れない心」というものがあるじゃないですか。まさに彼はその条件を満たしていました。
どういったところで「折れないだろう」と感じたんでしょうか?
新しい事業への挑戦は、会社にとって大きなチャレンジです。
特に不動産は独立して事業を行うことも可能ですが、私たちはグループとしてこの事業を伸ばしたいという思いがありました。
そのためには、会社へのコミットメントが非常に重要だと考えます。
日頃の彼の言動から、そのコミットメントが強く、信頼できると確信していました。だからこそ、多少無理なお願いもできましたね。
当初、不動産事業の拡大などの未来像はありましたか?
当初は多店舗展開を考えていましたが、不動産事業は広く浅くではなく、狭く深く顧客と関わる必要があると感じています。
そのため、現状では多店舗化は実現していませんが、いずれは複数の拠点で地域をカバーしていきたいなと考えています。
合わせて、不動産用の規格住宅を持つことも視野に入れています。
生活ニーズに合わせた商品を規格住宅として提供できたら、裾野も広がるんじゃないかと。
ただ、まずは不動産の足元がしっかり固まって、人員的にも余裕ができた段階でそういう展開もあり得ると思います。
「ひだまりホーム」と「ウッディライフ」の違いは?
「ひだまりホーム」は高級住宅のイメージが強く、残念ながらその層以外のお客様には何も提供できていない現状があります。
不動産を起点として、私たちが手がけていない層のお客様にもニーズに応えられるような住宅、例えば価格を抑えたり、デザインを規格化したりするような住宅があっても良いと考えています。
最近は一人暮らしの方も増えていますが、「ひだまりホーム」のイメージだとファミリー層向けと思われがちです。
そういったお客様の多様なニーズに応えるサービスを、不動産事業を通じて実現したいですね。
これまでとは違う層のニーズに応えられると考えたのですね。
そうですね。それまでは自分たちのブランドに合わせてターゲット層を絞り込んでマーケティングをしていましたから、不動産事業で客層が広がったことで、感覚の違いを強く感じました。
ただ、「川上」という視点で見れば、お客様の多様なニーズに応えるためには、不動産という入り口は非常に有効だと考えています。
不動産からリノベーション受注に繋がっていますか?
最近は中古住宅を購入してリノベーションするというお客様が増えてきました。
岐阜ではこれまで、中古住宅市場はあまり活発ではなく、新築分譲が主流でした。
しかし、最近は分譲のクオリティでは満足できないけれど、新築では予算的に難しいという方が、中古住宅を購入してリノベーションするという選択肢を選ぶようになっています。
例えば、中古住宅+リノベーションで2000万円といったケースも出てきています。時代が変化していると感じますね。
昔は中古住宅が流通することも少なかったですし、購入の選択肢に入っていませんでした。
都心部では先に起こっていた流れが、数年遅れて地方にも入ってきているという感じです。
建築業界でも同じような傾向があり、例えばマンションのリノベーションなども、都市部で流行してから数年経ってから地方に波及するといったことがあります。
物件王のサポートで期待することはありますか?
今のところ、特に思い浮かびません。物件王さんのおかげで、私たちの情報提供は非常に助かっています。
また不動産事業は1人で立ち上げたので、彼(現在の事業部長)の右腕がいない状況でした。
社内に聞いても分からないことも、物件王さんに聞けば答えを示してくれる。そういった意味で、物件王さんは彼の右腕になってくれました。
他社との交流イベントやコンテストなども、モチベーションにつながっていますし、法規的なことやホームページのことなど、手厚くサポートしていただいているといつも感じています。
最後に、御社の今後の展望をお聞かせください。
私たちの会社は、単なる家作りの会社ではなく、「心豊かな人生を作る会社」でありたい、最近では「人生をデザインする」という言い方をしています。
この概念を大きくすることで、できることがもっと広がると思っています。
今は飲食事業も行っていますが、食で人生を豊かにすることもできますし、住宅や不動産に限らず、地元の人間としてお客様の人生をより豊かにするためにできることがあれば、どんどん挑戦していきたい。
お客様の豊かな人生を創造するという目的のもと、その手段として住宅があり、不動産があり、飲食があると考えています。
スタッフにも常々、「何かチャレンジできることがあれば、積極的にやろう」と話しています。
今回、不動産事業を見つけてきたのが私ではなくスタッフだったのも、彼らが常に「他に何かできることはないか」というマインドで仕事をしているからです。
そうやって、豊かな人生につながるようなことであれば、どんどん挑戦し、事業の柱を増やしていく「多柱化」を目指し、より強固な会社を作っていきたいと考えています。
WOODYYLIFE様が目指すのは、住宅や不動産事業にとどまらない、多角的な「人生のデザイン」。
石橋会長が語る「チャレンジできることは積極的に」という精神は、まさにその姿勢を象徴しています。
「ダメなら引けばいい」という、柔軟な発想から始まった不動産事業。
しかし、そこには確かな顧客貢献への情熱と、変化を恐れない企業文化がありました。
お客様の豊かな人生のために、常に新たな価値を創造し続けるWOODYYLIFE様の挑戦は、これからも続きます。
担当者からのコメント
石橋会長の熱い想いを伺うことができ、私たちも大変感銘を受けました。
不動産事業を「川上」として捉え、お客様の「心豊かな人生をデザインする」という壮大なビジョンに、私たち物件王も貢献できていることを大変光栄に感じています。
「リスクを恐れず、ダメなら引けばいい」という柔軟な発想でスタートされ、住宅事業で培われたホスピタリティやお客様への真摯な姿勢を不動産事業にも活かされているWOODYYLIFE様。そのチャレンジ精神と顧客目線の事業展開は、まさに私たち物件王が目指す理想像です。
これからもWOODYYLIFE様の「多柱化」への挑戦を、全力でサポートさせていただきます。共に、より多くのお客様の豊かな人生に貢献できるよう、尽力してまいります!
物件王スタッフ一同